日本一デカいモノ

旅行

人はデカいものが好きだ。それが日本一と来れば誰もが好きなはずである。
そもそも「デカい」という言葉自体にインパクトがある。

日本一デカい山、富士山
日本一デカい湖、琵琶湖
日本一デカい山車、でか山

ほらね、みんな大好きでしょ?

出会い

能登半島は七尾市、この町では5月にあるお祭りが行われる。
それが青柏祭(せいはくさい)だ。

ある朝、寝ぼけ眼でニュースを聞いていると青柏祭の話題が飛び込んできた。
なんでも能登半島地震の影響でできていなかった青柏祭が2年ぶりに開催されるそうだ。

青柏祭について調べると「国の重要無形民俗文化財」「ユネスコ無形文化遺産」と大層な肩書き。
さらには「でか山」という文字。曳山のあまりの大きさにそう呼んでいるらしい。

私は自称お祭り男を名乗っているので面白そうな祭りには目がない。
「でか山」なんて言葉を見てしまっては参加せずにはいられなかった。

半島を北へ南へ

祭りが行われる七尾市は中能登、能登半島のちょうど真ん中あたりに位置する。
本番は5日だが、近くの観光地をいくつか周りたかったので、3日の朝一で福井市で原付をレンタルして北上することにした。

なぜ車ではなく原付なのか。答えは簡単、原付の方が楽しいからだ。
風と振動をダイレクト感じられるし、気になるものを見つけた時に停止しやすいし、速度も景色を見るには丁度良い。景色を見るのが好きで、移動を楽しみたい人にはオススメだ。

3日の観光のメインは福井で自然を感じられる場所。
海に突き出した柱状節理群が印象的な東尋坊。

緑を浴びたくて寄った平泉寺白山神社。
水仙だろうか、近くを散歩して見つけた野花が綺麗だった。

乾川地区に広がる満開のシバザクラ。

あちこち寄っている間に日が暮れてくる。
移動できる距離が意外と短いのが、原付の唯一の欠点だ。

シバザクラを見た地点から最短で金沢に向かえそうな道を探して国道364号を進む。
国道364号は山間の道かつ標高が高い場所を進むのだが、これが間違いだった。
5月だからと油断していたが、山の上あたりは未だ雪が積もってるし寒いし道ガタガタで腰痛いしで、原付で走るには全くオススメできない。
唯一良かったことと言えば、この季節に梅の花が見れたことだろうか。

震えながらなんとか山を駆け下りチャンピオンカレーに駆けこんだ。
芯まで凍えた体にカツとカレーがガツンと効く。体が求める味がする。

ありがとうチャンピオンカレー。カレーと店員さんを密かに命の恩人に認定しておこう。
夜のうちに金沢駅まで移動して、今日は休むことにした。


夜が明けて4日。
ネカフェが空いていなかったので碌な場所で寝れなかったが、朝が来たので移動を始める。
今日の目的は七尾市の下見と輪島周辺の観光だ。

金沢駅から七尾市まではほぼ直線。休憩を入れながら中能登を突っ切る。
途中ふらりと立ち寄った神社から見える景色がとても綺麗だった。

七尾市に着いたのは昼前頃。
お祭りの本番は明日の5日だが、既に屋台はいくつも出ており町はお祭りムードになっていた。

しばらく町を歩いていると近くで勇ましい声が聞こえてきた。その声に引き寄せられていくと、

でっっっっか!

ヌッと現れる巨体。一軒家を優に超える大きさ。いやデカすぎじゃない?

これがでか山。私は日本一を舐めていた。
名前に違わぬビックサイズである。これは明日の本番がより楽しみになった。
この画像はでか山の裏側で、表側からは歌舞伎の名場面を模した舞台が作られている。が、それをじっくり見るのは本番にとっておこう。

少し町を散歩して、でか山について調べたりパンフレットを大量に受け取ったりした後、残りの時間で輪島市に向かう。
輪島では、歪に盛り上がった歩道や崩れたままの家、一面更地となった場所などもあった。
能登半島地震が起こったのは昨年の正月だが、一年以上たった今でも完全な復興とはいかないようだ。
ただ、輪島市へ向かう道路はかなり整備されていたし、営業しているお店や観光施設などもあり、少しずつ立ち直ってきているように見えた。

輪島工房長屋で見た美しい輪島塗。
漆器が完成するまでの工程の紹介もされていた。

国指定文化財名勝にもなっている白米千枚田(しらよねせんまいだ)。
田は全部で1,004枚あり、一番小さいものは新聞紙一枚分しかないそうだ。

この日の空は気持ちのいい晴天だった。

まだまだ復興途中であり、観光客もそれほど多くはなかったが、輪島の趣のある町並みと美しい自然を感じることができた。奥能登にはまだ見れていない場所もあることだし、いずれ再訪できたらと思う。

本当は七尾市の近くで泊まりたかったのだが、能登にはネカフェがない。
宿などとっているはずもなく、泣く泣く金沢まで戻ることにした。
風を感じられる原付は性にはあっているが、車中泊だけはできない。この時ばかりは車だったらと思わずにはいられなかった。

祭 本番

5日の朝から七尾市に行くと、既にでか山の曳き出しが始まっていた。
昨日見たときも思ったが、近くで見上げて改めてその大きさを感じる。

様々なサイトで紹介されている青柏祭の見所として「辻廻し」が挙げられている。
あの巨体を誇るでか山が狭く曲がった路地を直角に進んでいくのだ。

20トンのでか山は当然簡単に方向転換することはできない。そこで辻廻し専用の車輪をその場で取り付けて山車を回転させる。詳しい仕組みの説明は省くが、若衆達の息のあった連携と素早い技の成せる芸当だということが見ているだけでも伝わってきた。
辻廻しを無事に成功させると、観衆からは自然と盛大な拍手が沸き起こった。

残念なのは画像や動画で辻回しの凄さを伝えるのが難しいことだ。
現場の熱気と、地鳴りとともに旋回するでか山の迫力は、ぜひ現地で体感してみてほしい。

辻廻しともう1つお気に入りの場面が、路地を直進してくるでか山だ。
でか山は勢いがつくとそこそこの速さで迫ってくるので、巨人に追われる感覚を体験することができる。

当日は天気も良く、晴れた空にデカい山体がよく映える。
それが3体も並ぶ様は圧巻の一言に尽きる。

大きいことはいいことだ。この言葉の正しさをしみじみと再認識しつつ、七尾市を後にした。
今後どこかで曳山を見るたびに思い出すだろう。日本一デカい、青柏祭のでか山のことを。

おまけ

記事としては大方満足なのだが、、
せっかくのGW、目玉はもちろん青柏祭だが、帰り際にも観光を楽しんだので、思い出に画像を残しておきたい。

兼六園。金沢に行ったなら寄っておかないとね。

東京への戻る途中で寄った浜名湖。レンタルのクロスバイクで1周。

長期連休最高!

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